国産の皮ごと食べれる軌跡の岡山もんげーバナナ。儲かる農業の仕組み。
こんにちは、農園百貨編集部です。
当サイトでは、日本の特徴ある経営している農園をご紹介しています。
今回は、奇跡の国産バナナを生んだ農業法人 株式会社D&Tファームについてです。
バナナの現状
日本人にもっとも親しまれているフルーツのひとつであるバナナ。そのほとんどが、海外で生産されており、現在はインドや中国でたくさんつくられています。
日本人の好きな果物1位のバナナ
実は日本人がもっとも消費しているフルーツがバナナです。かつては、みかんが圧倒的1位でしたが、2000年前後を堺に、バナナが1位になりました。総務省の家計調査によると、みかんは昭和55(昭和1980)年頃から30年間で3分の1まで減少しています。一方で、バナナの消費は2倍に増えています。
バナナ大学の調査によると、半数以上の人が週に1日以上バナナを食べています。朝バナナダイエットでも取り上げられて、「腹持ちの良さ」「食物繊維」「糖質の吸収が早い」ことから日常的に食べる人が多いようです。
バナナの栽培に適さない日本の環境
日本人が大好きなバナナですが、みなさんも日本でつくられている印象はないですよね?バナナは年間を通して16~30度の気温がないと育たない熱帯生まれの果物です。セ氏13℃以下になると枯れてしまいます。
日本国内での純国産バナナの栽培は不可能だとされてきました。
実際に国内消費量の99%、年間約100万トンがフィリピン、エクアドルなどから輸入されています。
世界的にバナナの危機
日本人が大好きなバナナですが、実は新パナマ病の蔓延でいま、次々にバナナが枯れており、近い将来、収穫できなくなるという予測もあります。
なぜ、危機かというと、バナナにはタネがなく、株分けをして増やします。つまり、世界中のバナナはクローンです。新パナマ病が流行すると、同じ遺伝子をもつバナナの株が次々と枯れはじめています。最悪、バナナが食卓から消えてしまう可能性もあると言われています。
純国産!奇跡のもんげーバナナの誕生
日本人が大好きなバナナの危機を救うべく、誕生したのが岡山県でつくられた「もんげーバナナ」です。
「もんげー」とは岡山弁で「ものすごい」という意味です。「もんげー」と言われる名付けられた理由は、国内、さらに冬には0℃以下の気温になることもある、岡山県で栽培されていることにあります。
糖度は普通のバナナの1.5倍
このバナナが「もんげー」と名付けられた理由は他にもあります。濃厚な甘さも特徴。一般的なバナナの糖度は15度くらい。一方で「もんげーバナナ」の糖度は25度あります。約1.5倍の濃厚な甘さが好評です。
無農薬で皮まで食べられる
「もんげーバナナ」は無農薬で育てられています。気温が低い岡山では、新パナマ病を引き起こす病原菌が繁殖できないので、無農薬で栽培できるという仕組みです。
パナマ病=熱帯性のカビが寒さで死んでしまうので、国産バナナに感染することも伝染して流行する心配もありません。つまり、世界のババナの危機も救える商品であるともいえます。
さらに、放っておいても、黒く変色しません。私は少しでも黒くなってしまうと、食欲が減退してしまうので、大変助かります。
このように無農薬で栽培することができるので、なんと皮まで食べることができます。
市場にでている外国産バナナは農薬が使用されており、皮を食べれません。もんげーバナナでは、はじめてバナナの皮を食べれる経験ができます。
こんな特徴のあるバナナですが、遺伝子組み換え作物ではなく、自然のものです。
バナナの皮の健康効果
バナナの皮には、精神を安定させリラックス効果がある「セロトニン」の原料となる「トリプトファン」という物質が豊富に含まれています。
「セロトニン」の合成に関わるビタミンB6やマグネシウムも同時に摂取できる優れた食材です。
バナナの果実には、抗酸化作用のある「ポリフェノール」、美容に優しい「ビタミンB群」が豊富に含まれています。二日酔いに効く「カリウム」や、「葉酸」「マグネシウム」といった微量栄養素も多く含まれています。
もんげーバナナの解析では、有機性亜鉛が通常の10倍も含まれていることもわかっています。
バナナに氷河期の記憶を呼び覚ます農法
日本初の純国産バナナの栽培に成功した秘訣は、「凍結解凍覚醒法」にあります。これは、「バナナに氷河期を生き抜いたときの記憶を蘇らせる」という技術。
具体的には、細胞を約180日間かけて、ゆっくり零下60℃に凍らせます。その後、解凍すると、驚異的に寒さに強く、しかも急激に成長する株となり、寒い岡山でもバナナが収穫できるのです。
植物本来の耐性がつよくなり、病害虫にも強くなり、無農薬栽培も可能に。
2倍の速さで成長するバナナ
「もんげーバナナ」は農家側にもおおきなメリットがあります。それは成長スピードです。普通のバナナは苗を植えてから実が成るまで1年半もかかります。
「もんげーバナナ」は2倍の速さで成長。約9ヶ月で収穫ができるので、収益の最大化が可能になります。「凍結解凍覚醒法」は、耐寒性のみならず、成長スピードを加速させる能力も発生させるのです。
他の作物へも応用し、農業革命を
「凍結解凍覚醒法」がつかえる作物はバナナだけではありません。パパイヤ、パイナップル、コーヒー、アボガドなどさまざまな作物にも応用です。すでに栽培ははじまり、実際に大きな成果も上げています。
「もんげーバナナ」の栽培にも携わっている株式会社桃太郎パパイヤ研究所では、「凍結解凍覚醒法」について日夜研究をつづけています。
多数の作物ラインナップをかかえています。
<現在の作物ラインナップ>
□耐寒性パパイヤ(野菜種・フルーツ種)
□耐寒性バナナ
<追加予定の作物ラインナップ>
□耐寒性グァバ
□耐寒性マンゴー
□耐寒性パイナップル
□耐寒性ライチ
現在の日本では食の安全が叫ばれており、「凍結解凍覚醒法」がおおきな打ち手になるのではないか?と言われています。「奇跡のバナナ」の技術が他の作物にも普及して日本で農業革命がはじめるかもしれません。
参考文献:奇跡のバナナ(著:田中節三/学研プラス)
企業データ
社名:農業法人株式会社D&Tファーム
所在地;〒709-1204 岡山県岡山市南区西高崎81−22
事業内容:耐寒性次世代作物の苗販売及び自社生産と6次産業
代表者:田中 哲也
設立:2015年12月
企業データ
会社名:農業法人 株式会社桃太郎パパイヤ研究所
所在地:岡山県岡山市北区北長瀬本町8-61
代表:代表取締役 田中節三
設立:平成25年10月
資本金:300万円
事業概要:・熱帯果樹耐寒性品種研究開発
・人工培養土及び有機微生物肥料の研究開発
・無給水培養土の研究開発
・有用微生物の研究開発
・未来作物の研究開発等